LPガスの特性

 LPガスは常温(およそ10〜25℃)、常圧(大気圧)では気体ですが、 一定の圧力を加えたり、冷却すると「液化」します。
 通常、家庭業務用に使われている容器内のLPガスは液体ですが、 容器の壁を通して外気の温度を吸収して蒸発し、容器内上部には気体となって存在します(気相部)。
気相部は蒸気圧をもっており消費時にはバルブを開くと、 自然に圧力を持ったLPガス(気体)が取り出せます。
液相部は絶えず吸温することで、気化を続けているので、 一定の圧力を持つLPガスの連続消費が可能となります。
 LPガスそのものは無色無臭ですが、ガス漏れ時の「ガス臭い」鼻を突くような臭いは、 危険防止上、空気中に1000分の1漏れた場合、ガス漏れが分かるように 臭いが付けられています。

 一般的にプロパン、ブタンのなどの気体燃料の場合は、 設備が比較的簡便なこともありますが操作が簡単で、 燃焼・温度制御が容易であり、均一加熱が可能です。 燃焼設備も清潔さを保ち、燃焼効率が固型や液体燃料に比べ数段すぐれています。


燃料としての特徴

項  目 特   徴
設  備 貯蔵、配送も容易で、体制も確立されている。
燃 焼 性 固体燃料、液体燃料に比べ、空気と容易に混合し燃焼効率が良い。
公害排ガス 固体燃料、液体燃料に比べ、SO・NOの発生が極めて少ない。無公害燃料でCOに発生も少ない。
衛 生 面 クリーンな燃料であり、直接加熱ができ、食品の直接加熱に最適。
温度制御 燃焼量の調節が容易であり、調節範囲が広く正確にできる。
熱 効 率 炉等を清浄に保つことが出来、小さい空気過剰率で燃焼出来るため熱効率が高い。

 燃焼とは熱と光をともなった酸化現象ですが、 LPガスは、空気中の酸素原子がある一定の温度(着火温度・発火点)に達した時、 LPガスの炭素原子や水素原子と化合して、熱と光を発生させ、 炭素は炭酸ガス(CO2)に、 水素は水蒸気(H2O)となって排出されます。
 この燃焼生成物(排気ガス)は、石油類や石炭の排気ガスと比べて  SOX、NOXなどの公害要素が非常に少なく、 すすや灰分も出さないクリーンな燃料といえます。
 ただし、燃焼時に酸素が不足すると、完全に炭酸ガスと水になりきれない場合が生じます。 この状態を不完全燃焼といい、すすや一酸化炭素(CO)が発生するので、 換気には十分注意しなければいけません。

LPガスの燃焼反応

プロパン C3H8+5O2 → 3CO2+4H2O
ブタン  C4H10+6.5O2 → 4CO2+5H2O
一般式  CnHm+(n+m/4)O2 → nCO2+(m/2)H2O

項 目 エ タ ン エチレン プロパン プロピレン ブ タ ン
理論空気量
 Nm3/Nm3
16.7 14.3 23.8 21.4 31.0
理論排ガス量
 Nm3/Nm3
18.2 15.3 25.8 22.9 33.5
排ガス[vol%]
CO2 11.01 13.08 11.63 13.08 11.94
H2O16.51 13.08 15.50 13.08 14.93
N272.48 73.84 72.87 73.84 73.13
合 計 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00

LPガスの性質

項 目 プロパン ブタン 単 位 摘 要
ガス比重 1.55 2.08 空気=1.0 空気より重い
ガス密度 1.963 2.588 kg/Nm3
燃焼範囲 2.1〜9.5 1.8〜8.4 空気中のLPガス濃度
総発熱量 12,030
23,680
11,830
30,680
kcal/kg
kcal/Nm3
真発熱量 11,080
21,800
10,930
28,340
kcal/kg
kcal/Nm3
着火温度 493 408
沸 点 -42.0 -0.5 容易に気化する
(プロパン)

気化装置により気化
(ブタン)

総発熱量
燃焼排ガス中の水分(水蒸気)がすべて凝縮するものとし、その潜熱も加えた発熱量。
真発熱量
燃焼排ガス中の水分が水蒸気の状態であるときの発熱量。